「新聞は必要」91%は本当?※調査方法の詳細データ付き(追記アリ)
お知らせ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
「新聞は必要」91%正直言って眉唾な数字だ。
しかもどのような質問がなされたか全くサイト自体には載っていない。(去年のはあったのに)
しかし読売新聞の紙面にはちゃんと載っていた。
▽調査日:9月5、6日
対象者:全国有権者3000人(250地点、層化二段無作為抽出法)
方法:個別訪問面接聴取法、有効回収数:1827人(61%)
回答者内訳男46%、女54%
20代8%、30代15%、40代16%、50代20%、60代23%、70代以上18%
大都市(東京23区と政令指定都市)22%、中核都市(人口30万人以上の市)18%、中都市(人口10万人以上の市)、小都市(人口10万人未満の市)24%、町村11%
※小数点以下四捨五入。合計が100%にならないことがある。0は0.5%未満。
質問と回答(数字は%)
あなたは、新聞があなたの必要とする情報や日常生活に役立つ情報を提供していると思いますか、そうは思いませんか。
1.十分に提供している 39
2.だいたい提供している 49
3.あまり提供していない 8
4.ほとんど提供していない 3
5答えない 2
あなたは、新聞が事実やいろいろな立場の意見などを公平に伝えていると思いますか、そうは思いませんか。
1.十分公平に伝えている 17
2.だいたい公平に伝えている 52
3.あまり公平に伝えていない 20
4.ほとんど公平に伝えていない 7
5.答えない 5
あなたは、新聞の報道が国民の人権やプライバシーを侵さないように気を配っていると思いますか、そうは思いませんか。
1.十分に気を配っている 21
2.だいたい気を配っている 53
3.あまり気を配っていない 16
4.ほとんど気を配っていない 5
5.答えない 5
あなたは、全体として、新聞の報道を信頼できますか、信頼できませんか。
1.大いに信頼できる 22
2.だいたい信頼できる 63
3.あまり信頼できない 10
4.ほとんど信頼できない 3
5.答えない 2
次の3つの点について、大きな役割を果たしていると思うメディアを、次の中から、それぞれ3つまであげて下さい。
(a) 「世の中の出来事を早く伝える」という点で、大きな役割を果たしていると思うものを、3つまであげてください。
(b) 「ニュースの背景や問題点を掘り下げて解説する」という点ではどうですか。
(c) 「社会の懸案や課題に対する解決策を提案する」という点ではどうですか。
メディア名 a b c 1.一般の新聞 57 61 59 2.スポーツ新聞 2 1 1 3.夕刊紙 4 2 2 4.NHKテレビ 60 50 45 5.民放テレビ 63 55 51 6.ラジオ 16 6 5 7.月刊誌 0 3 3 8.週刊誌 1 4 3 9.インターネット 32 11 8 0.その他、とくにない、答えない 1 3 10
最近、インターネットの利用者が増えていますが、あなたは、情報や知識を得るために、新聞はこれからも必要だと思いますか、必要ないと思いますか。
1.必要だ 74
2.どちらかといえば必要だ 17
3.どちらかといえば必要ない 4
4.必要ない 4
5.答えない 1
あなたは、平均して、1日にどのくらいの時間、新聞を読みますか。次の中から、1つだけあげて下さい。
1.10分ぐらい 18
2.20分ぐらい 22
3.30分ぐらい 26
4.40分ぐらい 7
5.50分ぐらい 2
6.1時間ぐらい 14
7.1時間半ぐらい 3
8.2時間以上 2
9.全く読まない 5
0.答えない 2
あなたは、平均して、一日にどのくらいの時間、パソコンや携帯電話でインターネットを利用しますか。次の中から、1つだけあげてください。
30分未満 22
1時間未満 15
1時間半未満 5
2時間半未満 8
3時間半未満 3
4時間未満 1
5時間未満 1
5時間以上 1
全く利用しない 43
答えない 1
【全問で「利用する」と答えた人だけ】あなたがインターネットを利用するのは、パソコンと携帯電話ではどちらの方が多いですか。
パソコンのほうが多い 71
携帯電話のほうが多い 23
どちらも同じくらい 5
答えない 1
【全問で「利用する」と答えた人だけ】あなたがニュースを見るためによく利用するインターネットのサイトがあれば次の中から、いくつでも挙げてください。
一般の新聞社のサイト 21
スポーツ紙や夕刊紙のサイト 7
テレビ局のサイト 5
通信社のサイト 8
ポータル系(Google、Yahoo!など)のサイト 60
その他 1
ニュースは見ない 16
答えない 3
インターネットで、新聞の紙面そのままの形を有料で見ることができる「電子新聞」について、次の中から、1つだけ上げてください。
利用したことがある 4
利用したことはないが、今後利用したい 17
利用したいと思わない 73
答えない 6
読売新聞社は統計学も知らずに統計をやっただろうか、と思いたくなる質問内容だ。
まず新聞社に関わる仕事をしている人間に面と向かって、「新聞なんて必要ない」なんていえるだろうか。
普通、言えない。
この質問だけでは名乗ったかどうかでは定かでないが、一番最初の質問
「新聞が役立つ情報を提供していると思いますか、そうは思いませんか。」
の質問をしている時点で大体どんな世論調査をしているのかわかってしまう。*1
さらに回答も、
一番最初の質問の回答に「だいたい提供している」
二番の質問の回答に「だいたい気を配っている」
三番の質問の回答に「だいたい公平に伝えている」
四番の質問の回答に「だいたい信頼できる」
すべて「だいたい」である。
中心化傾向が起こってるようにも見える。
追記:コメント欄で指摘されましたが、評価の段階を偶数することによって中心化傾向を防ごうとしているようです。
初歩的なところを完全にわすれていました。
申し訳ありません。お詫びして訂正させていただきます。
一番問題なのがキャリーオーバー効果だ。
これは前の質問が後の質問影響するというもので、統計をやるなら必ず排除すべきものだ。
正直言って、「役立つ情報を提供していると思いますか」などを質問しておいて後に「必要ですか?」なんて質問をする時点でキャリーオーバー効果狙ってやってるんじゃないか?とも思えなくもないのであって。
追記:
コメント欄に「問いと問いの間に五問開きがあるとキャリーオーバー効果も限定的では?」
とあったのでもう少し詳しく書きます。
キャリーオーバー効果が関与してしまっていると思われる質問は
「新聞が〜役立つ情報を提供していると思いますか」だけでなく
「公平に伝えていると思いますか」
「プライバシーを侵さないように気を配っていると思いますか」
「新聞の報道を信頼できますか」
「大きな役割を果たしていると思うメディアを、次の中から〜」
も新聞に関することが質問されています。
つまりこの「新聞は必要」という問いの前にされていた質問全てが後の回答に影響を与えると考えらます。
しかもこの質問全て「だいたい提供している」だとか「だいたい気を配っている」が多いのです。
これらのせいで新聞は必要か?という問いにポジティブな影響を与えた可能性は高いと考えられます。
そもそもキャリーオーバー効果を防ぐためには「重要な質問は前にする」という原則があり、もしキャリーオーバー効果の影響がなかったにせよ、統計をする上では間違ってると言わざるを得ません。
読売新聞はもっとちゃんと調査をやるならやって欲しいものだ。
*1:これに関して、回答者は質問者の意図がわかると質問者の意図に沿うように答えてしまう、というようなバイアスがあったような気がするのですが、本当にあったかどうかは定かではありません。ごめんなさい。