マスメディアは確かに偏向報道しているがネットも人の事は言えない。

前置き

必ず「事実ではない事を言う」人が、この世の中には居る。
例えば、虚偽性障害や虚言癖を持つ人。
そこまでいかなくても、何かしらの理由があって嘘を吐く人。
語弊やら、勘違いやら、記憶違いやら、聞き間違いやらでの結果、自覚をがないのに結果的に嘘を吐く人。
更に人間というのは記憶を簡素化、そして自分の都合の良いように改竄する生き物だ。
つまりこれを踏まえて、こう言えるだろう。
「必ず情報を伝達する中で、嘘を吐く人が出てくる。」


さてどのくらいの確率で、嘘が混じるのか。
少なくとも1/10の確率くらいで、嘘が混じりそうである。
1人が10人に情報を伝達するが、1/10の確率で正しくない情報を伝達してしまうと仮定して、計算してみる。
情報伝達1回目 正しい確率    90% 正しくない確率    10%
情報伝達2回目 正しい確率    81% 正しくない確率    19%
情報伝達3回目 正しい確率   72.9% 正しくない確率   27.1%
情報伝達4回目 正しい確率   65.61% 正しくない確率   34.39%
情報伝達5回目 正しい確率  59.049% 正しくない確率  40.951%


5人目にわたったら、およそ半分の確率で情報は嘘という結果になった。
実際は情報元がそもそも虚偽の情報だったりするので、1/10より高いだろう。
ハレー彗星が有毒だとか、トイレットペーパーが無くなるだとか、という流言が出回ったのも納得ができる。
しかも又聞きの悪質なところは、自分が何番目に情報伝達されたかがわからない事である。
簡単に言えば、「又聞きと言うのは安易に信じられない」という事だ。

正常化の偏見と多数派同調バイアスという罠

さてここで誰もが見聞きした情報を発信でき、誰もがその情報を知り、
またその情報を発信できるメディア、更に匿名で流言を流した事に対する罪が無いなら。
そんなメディアがあれば、又聞きにまたはそれ以外による流言を強力にサポートする事になるだろう。
そうそれこそが、インターネットである。


しかもこのインターネットと言うメディアは、
「自分はちゃんと使えば、正しい情報が出てくる」
という立場をとっているのが*1、余計に性質が悪い。
これのせいで、自分は大丈夫、自分は騙されない、という正常化の偏見がなされる。
正常化の偏見に騙される人が多い事は、振り込め詐欺が未だに減らない事で容易にわかる*2


さてここでインターネットと言うメディアに、一つのセンセーショナルな流言を投げ込んでみる。
センセーショナルであるから、この情報はある程度の話題を集めるものとしよう。
するとある現象が起きる。
ブックマーク、ランキング、ブログ、掲示板、エトセトラエトセトラ……。
このメディアは話題が話題を呼ぶという、システムが備わっている。
つまりセンセーショナルな話題に、インターネットでも偏るのである。
これはある意味、マスメディアと通じるものがあるのではないだろうか。
センセーショナルな物ばかりが目に付く。
マスメディアは、センセーショナルな情報しか扱わないから。
インターネットは、話題に上がる物は結果的にセンセーショナルだから。
更に思想にいたっても、理由と思しきものは後述するが偏っている。
これにより多数派同調バイアス*3が生じ、更に思想は偏った方向に凝り固まっていく。
しかし実際はインターネットは中立である、という考えが良くなされている。
先述した正常化の偏見のせいであると思われる。



無限ループという名の暴走

さてもしこのセンセーショナルな流言が、重要性が高く不確かさ極大、に当てはまるとしたら。
つまり流言の発生条件*4に、当てはまっているとしたらどうだろう。

  • 虚偽や無責任が罷り通る。
  • 誰でも情報を手に入れられる。
  • 正常化の偏見をしている人達が居る。
  • インターネットは情報を発信するのも簡単である。
  • 話題が話題を呼ぶシステムがある。
  • そして多数派同調バイアスが生じる。

つまり最悪なまでに、流言を発生させられるシステムなのだ。


本来誰でも情報を発信できるメディアなのだから、自浄作用が働くはずである。
しかしインターネットはなぜかいくつかの集団を作り出し、その集団により思考の仕方が違うようである。
例えばある集団は「この法律が可決されたら日本が滅ぶ」という。
例えばある集団は「この法律が可決は不可避であるし可決されても滅ぶ事はない」という。
例えばある集団はこの事が話題に上がりすらしない。
つまり働くはずの集団内の、自浄作用が働かないのである*5
しかも更に問題は2つ以上の集団に、所属している人の少なさだ。
つまり一つの集団の思想しか、見えないようになるのである。
集団で一つの話題できると、話題が話題呼ぶシステムが働き、
そしてこの集団束縛思想より、自浄作用が働かず、多数派同調バイアスが生じ、
そのせいで余計に話題になり……。
そう。インターネットが悪質なのはここにある。
一生集団内で無限ループするのだ。


一度このループが発生してしまった場合、同じインターネットでもほかの集団でも止める事はできない。
違う集団の思想は、排斥され、見向きもされず、藻屑*6と消え去る。
止める術など無い。


最終的であっても凝り固まった考えになるなら、最初から一辺倒であるマスメディアと少しも変わらない。
僕はそう思うのだ。

*1:と思われているが、と言った方が正しいか。

*2:[http://www.daily-tohoku.co.jp/news/2008/10/28/new0810281602.htm:title=デーリー東北:主なニュース:被害者7割「自分は大丈夫」振り込め詐欺調査(2008/10/28)]

*3:http://psychological-jp.com/column/p9.html

*4:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%99%82#.E6.B5.81.E8.A8.80.E3.81.AE.E7.99.BA.E7.94.9F.E6.9D.A1.E4.BB.B6

*5:因みにここではどちらの集団が正しいかというのはおいておく

*6:元ネタはモチのロンではてなボトル